京葉線通勤快速廃止は本当に悪手だったのか?(2024.03.16)

2024年度のダイヤ改正で最も注目を浴びたものが複数ある。

それは、北陸新幹線の金沢~敦賀間の開業や、それに伴うサンダーバード・しらさぎの敦賀短縮、敦賀~金沢間在来線の第三セクター「ハピラインふくい」「IRいしかわ鉄道」への移管など、関西を中心としたものもあるが、関東ではやはり「京葉線通勤快速の廃止」が話題であろう。

今回は、私自身が一通勤客として複数回乗車した複数回の実体験も交えて、今回の通勤快速廃止について考察していきたい。

目次

京葉線通勤快速とは

京葉線通勤快速は、平日に上下線でそれぞれ2本ずつ設定されている、新木場~蘇我間ノンストップの快速列車である。総武線快速と比較すると、東京~蘇我間においては京葉線の通勤快速では最速約37分、総武線快速では49分前後とかなり差が開く。京葉線の東京駅は、50%有楽町駅といっても過言ではないほど、東海道線などのほかの東京駅と有楽町駅のど真ん中にある。したがって、京葉線から東京駅中心部まで歩くこと所要時間7~8分を追加して考えると、この通勤快速は投稿~蘇我間を実質的に45分ほどで走破することになる。
 もっとも、総武線快速も、ホームが地下深くにあるせいで、地下まで潜るために多少歩かなければならない点を考えると、こちらも所要時間5~6分は水増しすべきであろう(あくまで私の主観)。したがって、いずれの路線もホームと中心の改札まで一定の距離がある以上、そこまで差はないものと思われる(お身体の不自由な方は、時間こそかかるが、むしろ錦糸町で乗り換えて総武線各駅停車で秋葉原を経由した後に、山手線か京浜東北線で東京駅へ向かったほうが楽かもしれない)。

一見すると非常に便利なように見えるが…?

通勤快速の停車駅は、東京を出ると、八丁堀、新木場、蘇我である。蘇我から先は、勝浦・成東方面へ行く列車と、木更津方面へ行く列車に応じて行き先が変わる。

蘇我〜新木場間の距離は35.6km。東京から横浜を通り越して保土ヶ谷(34.7km)まで、大阪から神戸まで(33.1km)といえば、そのノンストップぶりがいかに常識離れしているか分かるだろう。あの特急顔負けの「新快速」ですらその間に停車駅を2〜3駅ほど入れるのが普通である。

たしかに、電車一本で、かつ乗降の煩雑さを回避するという点では優れた種別の快速だっただろう。

千葉市をはじめ、沿線の自治体が怒る気持ちも理解できる。また、優等種別が消滅した路線は、沿線の不動産等に大きな影響を与えることも少なくない。しかし、、、

京葉線通勤快速廃止について、私は多数意見とは異なり、大いに賛成したい。その理由を以下に述べる。

私が通勤快速廃止に賛成する理由

まず、通勤快速を利用する乗客の数は決して少なくない。したがって、ノンストップによる需要がある事は理解している。

ただし、問題は電車の設備と沿線混雑への対応にある。

上述の通り、通勤快速は関西に例えるなら大阪〜神戸をノンストップで走る列車に等しいとした。

・・・ロングシートで?しかもトイレないの??そのうえで25分間もドア開かないの???

始発駅で座席に座れる客ならいいが、車内が激混みしないとはいえ混雑していることに変わりのない車内に25分間もじっと立たされ続けてみると、めちゃくちゃしんどい、、、

しかも、急にトイレに行きたくなったりしたら地獄と化す。このような長距離列車には、トイレの1つや2つくらい、設置されていて当然のはずである。ちなみにこれは帰りの通勤快速に乗車した際の体験だが、新木場駅を出たすぐあたりでお腹の調子が悪くなり、トイレに行きたくなった。これを蘇我まで我慢し続けた。後述する通り、この日は前を走る列車が安全確認を行なった影響で数分ほど遅延したことから、とんでもない思いをすることになった。

したがって、体力のあるサラリーマンならまだしも、ご高齢の方や補助を必要とされる方などには決して優しくない列車であると感じた。

次に、混雑や安全確認によって遅延した場合、武蔵野線などは臨機応変な乗り換え等をすることができず、ずっと乗りっぱなしになってしまう点を挙げたい。

京葉線は沿線住民による利用客が全体で非常に多く、その他にディズニーを利用した客も多く載せる。そうすると、至る所で安全確認や荷物挟まり、混雑などの影響で遅延しやすくなる。

私は帰りの通勤快速で前を走る列車が舞浜駅(ディズニーが近い駅)で安全確認を行なった影響を受け、遅延してしまった。私は体力があったから、上述した体調不良に耐えられたが、少し体力がない方だと急病で倒れてしまうおそれがある。そうすると、その急病人の救護活動でさらに列車の遅延を招く。もちろん、急病の客が決して悪いわけではない。臨機応変な対応の難しい通勤快速が悪いのだ。

そして、通勤快速が本当に混雑するのは、実は新木場・・・ではなく、蘇我からである。特に私が乗車した帰りの東京発成東・勝浦行き通勤快速は、東京~蘇我間よりも蘇我以東のほうが混雑率が明らかに高かった。そうすると、この列車の存在意義は果たしてどこにあるのだろうか、疑問に感じるようになる。

したがって、このような「修行??」ともいえる通勤快速は、早々に廃止のうえ、全て各駅停車として増発を図るほうが、優等種別がないという見た目はともかくとして、長期的に利便性と安全性の双方を向上させられたはずではなかったかと私は考察する。JRのいう利便性の向上は、まさにここにあったのではないだろうか。

まとめ

以上のことから、私は今回のダイヤ改正で京葉線通勤快速が廃止された点を評価した。短期的目線ではマイナスな面が目立っているが、長期的目線に立てば、なぜJRが優等種別を廃止したかったのか、いずれその成果が目に見える形で現れるだろう。

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著者情報

大学法学部卒業後、電鉄系、法律事務所での勤務を経て、法科大学院へ進学する。果たして筆者は無事に司法試験と司法修習を突破し、「弁護士・外国法事務共同弁護士法人」を設立のうえ、日本を代表する大手事務所へ成長させられるのか!?
とある司法試験受験生のブログです。

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