昨日、国交省は、「フルフラット座席を備える高速バスの安全性に関するガイドライン」を公表した。これにより、これまで禁止されてきたフルフラットシート(ベッド型)の高速バスの運行が、現実的になった。
しかし、就活時に東京~大阪~福岡間で乗り回していた私から見れば、現行の高速バスを寝台バスに改造したところで、採算が取れないように思われる。なぜならば、上記ガイドラインによれば、寝台の方向は進行方向にしなければならず、寝台特急のように横向きにすることができないため、必然的に乗車定員が10名~15名程度になってしまい、新幹線・航空機+ホテルという手段に対する競争優位性を確保することが難しいと思われるからだ。
ただし、これはあくまで「現行の高速バスを改造」すれば、の話である。例えば、空港や一般道で走行している連節バスの高速バス仕様にすれば、どうか。福岡市では、既に連節バス(しかもシートベルトがない路線バス)を高速道路で走らせている実績がある。そうであるならば、フルフラットシートで全席にシートベルトのついた連接高速バスを、高速道路で走らせられない理由はもはや見つからないはずだ。
そうすることで、バス事業者にとっては、人件費の削減や、いわゆる2024年問題への対応が容易になり、採算が取れることになるし、一般消費者にとっては、フルフラットシートのバスをリーズナブルな値段で利用することができる。これにより、上記の新幹線・航空機+ホテルという手段に対して競争優位性を少なからず確保できるはずである。
もっとも、この点について少なくとも2つ問題点を挙げるとするならば、①現行の停留所が、そもそも連節高速バスが停留所として利用することを想定していない設計となっていること(関空や羽田、成田等ならともかく、バスタ新宿やバスターミナル東京八重洲、京都駅八条口や烏丸口にある停留所を見れば、ここに連節バスをぶちこむのは物理的に不可能なのではないか?)、②サービスエリア・パーキングエリアにおいて連節バスはどこに停車すればよいか、という規定が見当たらないことを真っ先に挙げるべきだろう。
国交省のガイドラインが机上の空論に終わらないことを願いたい。