なぜ「今」これを報道するのか(2024.10.15)

今日、「タイミー」というスポットワークを手がける企業に関する記事が複数みられた。

どうやら、かつて、ユーザーが無断欠勤をした場合に、当該ユーザーを無期限の利用停止にすることを違法とする厚労省の指導について、10月14日に報道があったそうだが、この報道に対してタイミーが公式HPでコメントをした。

なんと、この事実については、既に昨年、厚労省と協議のうえ、サービス利用停止期間を「無期限」から「一定期間」へ変更していたとのことだった。

昨年片付いた事実について、報道機関が(何の目的をもってか知らんが)、わざわざ今年の秋に蒸し返しをした形となる。結果として、当該報道によって株価は急落したそうだ。すなわち、昨年に決着のついた事実について報道機関によって株価を下げられてしまう形となってしまった。

これについて私は2点、私見を述べたい。

・まず、タイミーのサービスがリリースされた時期と、実際に厚労省が指導を入れた時期にラグがある点を注目したい。無断欠勤をした当該ユーザーを「無期限利用停止」とすることそれ自体は、何ら法に抵触しないように思える。むしろ、他のスポットワークサービスを手がける他社との差別化を図るため、ユーザーの質の担保をするためにも、「無期限利用停止」は合理性があるように思えるし、ユーザーもタイミーが利用できなくなったからといって直ちに労働者として勤務できなくなるわけでもない(ハローワークに行くなり、他のサービスを使うなりすればよいはずだからだ)。したがって、仮に報道機関がいうように厚労省がタイミーのユーザーに対する制裁を「違法」とするのならば、何の法に抵触して違法なのか、また、仮に違法であるとしたら、なぜ厚労省は昨年になるまで指導をしなかったのか。疑問が生まれるところだろう。

・次に、読者の皆様はご存じの通り、私は、報道機関の報道に対しては、やや批判的に見る傾向がある。今回のタイミーの件も、報道機関側に対して批判的立場にならざるを得ない。報道機関は、取材その他の情報収集手段によって収集された情報を国民に報道することによって、社会に対していかなる影響を及ぼしうるか、最も理解している機関のはずである。にもかかわらず、収集した事実と報道による効果を精査せずに、本件のように報道するその姿勢には、ちょっと報道に対する不信を抱かざるを得ない。果たして本当に厚労省がタイミーに対して「違法」の旨を伝えたのかすら、上述のとおり国民は事実か否かすら判断できない。

以上の意味で、私は報道機関に対して、ますます不信を募らせるのであった。

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著者情報

大学法学部卒業後、電鉄系、法律事務所での勤務を経て、法科大学院へ進学する。果たして筆者は無事に司法試験と司法修習を突破し、「弁護士・外国法事務共同弁護士法人」を設立のうえ、日本を代表する大手事務所へ成長させられるのか!?
とある司法試験受験生のブログです。

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