第18~20回チート・デイ(2024.02.14~16)

ここでチート・デイについておさらいしよう。

チート・デイとは、主にダイエット等における食事制限のうち、特定の日のみさまざまな食糧を摂取してよいとすることに由来する、「法律の勉強を最低限行ったうえで残りの時間を自分のやりたいことに費やす」ことをいう。

第X回のX=日付である。そのため、今回のように3日連続でチートデイを設定する場合は、3回連続でチートデイを満喫することになり、タイトルのような表示となる。

1~2日目は、美味しいハンバーグを摂取のうえ、温泉につかった。そして本日3日目はかねてより計画を立てていたプロジェクトの実行日。

非常に心の躍る3日間であったと記しておこう。(なお、最低限の勉強、といったが、実は上3法を徹底的に復習したりするなど、そこそこ負荷をかけた勉強をしている。)

・・・ところで、1点気になったことがある。それは、我が国は本当に学歴を欲しているのかという疑問だ。

2023年度の予備試験合格者は、前年度と比較してさらに年齢の面で若返りをみせた。最年少合格者も17歳から16歳へ更新された。なお予備試験合格者の属性で最も多いのは大学学部在学生であった。ロー在学生の中では、もはや大手法律事務所や企業法務をメインに取り扱う法律事務所には、もはや学部のうちに少なくとも予備試験い合格できなければ就活のスタートラインにすら立てないという噂が流れている。仮に、昨今の就活早期化に便乗してるのかどうかは知らないが、法曹の世界における就活でも早期化が促進されているのであれば、私は以下の考えを提唱したい。

「いわゆる『エリート弁護士』は、約10年後にはもはや高卒者で占められるだろう」

ここ20年間ほどの司法制度改革によって、まず予備試験合格者が就活で優遇されるようになった。次に、採用側は年齢の若い者を欲するため、学部在学中に予備試験に合格した方を優遇するようになった。さらに、ここ数年で予備試験に合格する高校生が現れるようになった。いずれはこのような高校生は増加するだろうし、合格者の属性も高校生が最大のボリュームゾーンになる、といった年もそう遠くはないかもしれない。

そうすると、いわゆる年収で数千万円を稼ぎ、誰もが憧れる法律事務所に新卒で所属するような「エリート弁護士」は、年齢の最も若い高卒者(18~19歳など)が占めるようになるのではなかろうか。

つまり、充実した法科大学院教育を受けた者ではなく、法科大学院はおろか法学部での教育すら受けていない者が、予備試験と司法試験、司法修習のみを経て弁護士として活躍する国になるのではないかと私は考えている。

極端な話、司法試験に若い年齢で合格できれば、東大ロー卒よりも東大学部卒が、東大学部卒よりも高卒のほうが就活で有利になるという「逆学歴フィルター」が発生する。特定の条件さえ充足すれば、高卒の学歴は東大卒としての学歴を凌駕する。いや、海外でいう「高学歴」とは例えば「ハーバードMBA取得者」や、「MITの博士号取得者」などのことを指すだろうが、我が国でいう「高学歴」とは「司法試験・公認会計士試験などに合格した高卒」のことを指すようになる。以前このブログで取り扱ったはずだが、高学歴の人材について、海外では「必要としている人材」として重宝されるが、我が国では「頭でっかちで使えない人材」として社会から排除される傾向にある。この我が国と海外とのギャップが、海外にとって「日本は低学歴化が進行している」とマイナスの評価をするきっかけとならないことを願いたい。

従来まで形式的な学歴等の序列で生涯年収、すなわちあえて過激な言い方をすれば「その人の命の価値」が決まる我が国のシステムが、低学歴かつ難関資格を取得することで「その人の命の価値」が高まることに伴い崩壊しようとしている。もちろん、大卒ではないから、大学院卒ではないから、その国の人間の知能が低下した、というわけでは決してない。これは明らかである。

あえてちょっとした暴論にもとれる話を言うと、法曹だけではなく全体の就活を見渡せばわかるとおり、たいていの企業はよほど人手不足でない限り「学歴フィルター」をかけて新卒の人材を採用している。その学歴とは、高校卒業時に受験した時の学力で決まる。大学で何をしていたかはあまり重視されない。未だに「留学しましたー」とか「海外でNPO法人に所属して学校を建てたり井戸を掘りましたー」「サークル長やってましたー」などと適当なことを言っていれば、どの大手企業に就職するかさえ選ばず1000社程度手当たり次第にエントリーすれば、内定を簡単に取得できる(はずだ)からだ。私は無理だったが。我が国では「どこの大学を学部で出たか(特に文系)」が重要となる。

そうすると、私から言わせれば「ならば高卒を採用しろ」となる。「大学で身につけた知識なんて役に立たない」などというふざけた採用担当者も多いから、いっそ大学入試レベルの問題を解答させて、偏差値の高い順からさっさと採用してしまえ。我が国を代表(笑)する大手企業でさえそう考えているのだろう?んで、いざ就活になればMARCH以上の高学歴を好んで採用するのだろう?だったら大学の4年間が実質的には無駄だと社会が発言している以上、MARCH以上の大学に入れる成績を残した高校生を大手企業は青田買いすべきだ。「学生時代に力を入れたことは何ですか?」じゃねぇんだよ。だったらはじめからそいつが高校生であるうちに貴社が内定出して一人前の社会人に育て上げとけ。本当に大学の学歴が必要な人とは、私のように社会から求められる市場価値を高校生のうちに叩き出せなかった人間に限る。そして大学で学んだ知識を真に必要としている社会は我が国ではなく海外に存在する。したがって、海外の大学で学び、海外の大学院を出るべきだ。(悲しいが私はそれができなかった。)

したがって、私は大学院で徹底的に法律を学んだうえで司法試験に合格し、多世代が豊かに暮らせる都市社会を後世に遺すべく、主位的には実業家として、予備的には弁護士として活躍したかったのだが、欧米や中国・韓国・中東などはともかく、日本社会ではそのような人材を心から求めてはいなかったようだ。非常に残念なことである。

同時に、我が国は学歴偏重主義にありながら学歴を軽視する、歪な社会である。これが我が国の衰退を加速させないことを願ってやまない。

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著者情報

大学法学部卒業後、電鉄系、法律事務所での勤務を経て、法科大学院へ進学する。果たして筆者は無事に司法試験と司法修習を突破し、「弁護士・外国法事務共同弁護士法人」を設立のうえ、日本を代表する大手事務所へ成長させられるのか!?
とある司法試験受験生のブログです。

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