改札ラリアット~チャージ残高は大丈夫か?~(2024.02.28)

近年、各鉄道会社の改札にIC以外の機能で通れるようになる機能が「後付け」されるようになった。

現在では西鉄(福岡(天神)と太宰府など)や南海(関西空港となんばなど)を筆頭にクレジット決済で電車に乗れるようになった。しかも、福岡市地下鉄に至ってはクレジットカードのタッチ決済を用いて地下鉄に乗車すると、1日の運賃が一日乗車券(640円)を超えた場合に、超過部分が割引されるという、便利すぎて思わず「は?」といいたくなるサービスを実証実験の一環として提供している。(詳細は福岡市地下鉄を参照)
また、これは上述したQR決済やクレジット決済のものではないが、JR西日本では新大阪~大阪間で顔認証改札を実証実験の一つとして導入している。(私が利用していた当時は顔認証で入ると顔認証でしか出られない仕組みだったようで、偶然にも大阪~新大阪限定の定期を持っていた私は十分にJRに貢献できたことだろう。)
 私自身、東京へ行く前は大阪~新大阪間の通勤定期を所持していたため、顔認証改札サービスが導入された後は積極的に顔認証改札を利用して「未来を先取りしてやったぜ。」と愉悦に浸っていた。笑

とまあ前置きはこれくらいにして、、、

私は、改札にQRやクレジットをつけるのはいいが、まさかこれによってICカードを廃止しますということにはならんよな、、、という心配をしたい。

私はよく関西へ行く際はスターフライヤーを使うのだが、なんせスターフライヤーは伊丹ではなく関空に就航しているため、必然的に南海かJRで大阪や京都へ1時間以上かけて行かなければならない。ただし、JRは大阪や京都へ行く際は運賃が非常に高いので、よほど時間に余裕がなく特急はるかを使う場合などを除いてほぼ使わない。他方で南海は大阪~関空間の運賃をケチりたい時にクレジット改札を通して利用させていただいている。ちょっと経済的に余裕がある時や重役とお会いする時などに特急ラピートのスーパーシートを利用する。
しかし、従来ICOCAやnimoca、PiTaPaやSuicaに慣れてきた私にとって、クレジットで改札を利用する際に若干のタイムラグを意識してしまう。これは技術的に仕方の無い(というかFelicaの読み取り機能が凄すぎるだけの)ことなのだが、ちょっとクレジット改札のほうが読み取りに1テンポ遅く、詰まりやすい。これが克服されれば、もはやFelica機能のICカードは窮地に立たされるのは間違いないだろう。

したがって、もしもかかるタイムラグが克服されないままICカードの廃止に踏み切られたら、改札が混雑することにより利便性が大幅に悪化することになる。その利便性の悪化を危惧しているのである。

歩くスピードで何もせず通過したいのであれば顔認証改札を導入すべきだと私は思うが、他方で顔認証改札も万能ではない。大阪駅の顔認証改札は顔認証に失敗した人を構内に入れないようにする、いわゆる本記事のタイトルにある「改札ラリアット」機能がついていないからである。しかも、慌てて乗車する際はダッシュで改札を通過するため、本人も改札が有効になされていないまま乗車してしまうという事態に陥りやすい。ラリアットされないからである。大阪駅で慌てて乗車して新大阪駅で顔認証改札を利用しようとして改札ラリアットをくらい、はじめて「あれ、ワシちゃんと改札通れてないじゃん!」と気がつくのである。

鉄道会社は回復するインバウンド需要を取り込みたいのか、IC機能のコスト削減を図りたいのか私の知るところではないが、少なくとも改札を通る手段をQRコードやクレジットのタッチ決済をメインに置き換えようものなら、首都圏と関西圏、九州の福岡都市圏の大多数の通勤客はいわれのない改札ラリアットをくらうことになるだろう、、、

追伸:本記事を執筆した当時、宝塚歌劇団の事件によって阪急阪神ホールディングス(以下、HD)が報道機関や有識者によって不祥事対応が「ひどすぎて話にならない」と酷評され叩かれていた(毎日新聞2024年2月27日付発表「「ひどすぎて話にならない」 阪急阪神HDの悪手、専門家が酷評」を参照)。この一連の事件がきっかけで、私はM&Aに加えてコンプライアンスや不祥事対応、コーポレートガバナンスに関する本格的な勉強を始めようと思った。司法試験合格や進級に対して余裕がない中、それでも私は、少なくとも再発防止と今後の発展のために企業(とりわけ大手私鉄)とそれに関わる株主や住民に報いたいという思いで勉強したくなった。

当初から勉強を続けているM&Aも、幼少期から志した「多世代が豊かに暮らせるまちづくりを国内外へ提供する形で国や社会に貢献する」という思いも、すべてHDと小林一三の影響を強く受けていただけに、またしてもHDは私の人生に強い影響を与える結果となった。

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著者情報

大学法学部卒業後、電鉄系、法律事務所での勤務を経て、法科大学院へ進学する。果たして筆者は無事に司法試験と司法修習を突破し、「弁護士・外国法事務共同弁護士法人」を設立のうえ、日本を代表する大手事務所へ成長させられるのか!?
とある司法試験受験生のブログです。

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