崖ロー流「三本の矢」(2024.02.26)

以前、ロー内の自習室内図書を管理する係(以下、図書係)に就任した旨を話した気がする。今回は、その続きのお話。

早速、自習室内の図書に関する抜本的改革に着手した。具体的には以下の通り。

①長年放置されており、何の価値もなく本棚を占有している古い書籍をすべて廃棄する。
②大人の事情(?)によって大学の図書館や法科大学院の図書館への配架が困難な予備校本や就活本を積極的に導入し、これら図書館との棲み分けを図る。
③法科大学院生が約1分で購入希望図書を申請できるように、手続を各自のスマホ内で完結できるシステムを開発・導入する(開発・導入済み。QRコードを用いて数十秒で申請できるようにした)。

これら三本の矢を短期間で実行することにより、法科大学院生の利便性向上と大手事務所への内定率向上を狙う。

法科大学院は、司法試験の合格を目標にすべきではあるものの、それが本人にとってのゴールではない。司法試験の合格を前提として、合格後のキャリアでいかに良い法律事務所に、良い案件に出会えるかが問題となる。

そのためには、弊ローは悲しいかな、就活の観点から貧弱であるし、大半は自らのキャリアに見向きもしない。そうすると、ほとんどの場合、無意識に自らのキャリアを妥協したキャリアを歩まざるを得なくなる。これは悲劇以外のなにものでもない。


大手事務所へ訪問した際には、「①中小法律事務所で良い案件を獲得して実績を積み上げる」「②その実績をもって中堅法律事務所へ転職する」「③最後に、大規模かつ良質な案件をこなした実績をもって大手法律事務所へ再転職する」というキャリアが現実的である旨を教えられた。

仰るとおり、上位ロー出身でなければ、予備試験上位合格者でもない人間にとっては、これが最も現実的なキャリアパスだ。しかし、まわりくどい。まわりくどいぞ!!

そもそも下位ローから司法試験に合格された方の就職難を解決するには、「はじめから大手事務所に新卒で就職できるキャリアを開拓する」のが最も手っ取り早い方法ではないか!

上述した転職によるキャリアパスで大手に入れたとしよう。そのときにはおそらくあなたは50代いくかいかないかの年齢になっているだろう。しかし、大手で良い実績を積み上げてより充実した法曹ライフを送るには、あまりにも遅すぎやしないかね!?そこには大手事務所に50代で入ったあなたと、20代前半で入った新卒ぴかぴかの人間が同等に扱われる世界だぞ(例外あり)!?少なくとも私はこんな現実に耐えられるだろうか、否、耐えられるわけねぇよなぁ!

そういうわけで、東大ローや慶應ロー、予備試験合格者に下克上をすべく、まずは大手の内定獲得に向けた最新かつ最先端の情報を自習室に積極的に置こうとしたのだ。下位ローだから、体育会系ではないからといって大手事務所の選考で「エントリー却下」されるはずだというロー内の迷信?が晴れたことは、先日私が全学年の優秀層と企業法務希望者を誘い、徒党(笑)を組んで大手事務所へ訪問した際に実感したはずだ。

あくまで私は即独する人間であるから、大手事務所の内定そのものには興味がない。自ら構えた事務所を、純利益を豆腐のように1チョウ、2チョウと数えられる大手事務所にすれば良いだけの話だから。

かといって、大学側に堂々と「大手事務所の内定が欲しいから就活対策本を買ってちょ」とか「司法試験予備校の論証集や趣旨規範ハンドブックを買ってちょ」とか頼むわけにもいかない。法科大学院の予備校化は文部科学省の最も嫌うところであり、文部科学省からそう捉えられかねないから、大学側は当然「大人の事情?」という感じでかかる書籍を配架できないからである。(私はそれを批判したいわけではない。むしろ配架できたら賞賛すべき反面、文科省とか世間体に対して大丈夫なのか?と心配したくなる笑)

しかし、自習室に書籍を配架する分には差し支えない。というか多数の優秀答案が掲載された本や予備校本が配架されているし、あくまで「自習」なのだから、自習にまで「予備校化してはいけない!」と文科省が突っ込む理由もないだろう。研究機関を束ねる者が自己研鑽するな、なんて口に出しても言えないはず。

以上のことから、上記三本の矢で自習室内の図書で不要な書籍を一掃し、司法試験合格と大手事務所への内定に特化した自習室図書へリニューアルさせることにした。そういう意味で私は、コンセプトが曖昧な自習室内の図書の配架状況に不満があったから、自ら責任者となれる役職をいただいたのだ。

最先端のICT技術を惜しみなく用いて利便性の向上をはかる点と、最先端をゆく仕組み作りを行う点は、前職の経験でしっかり身につけたから、この程度の改革は私から見ればたいしたことはない。

今年度や次年度の新入生にとって、「令和の鳥居強右衛門」と呼ばれることを願う、、、ん?たしか鳥居強右衛門って、目的は果たしたのに討ち死にした足軽じゃなかったっけ・・・?ならば「討ち死にしなかった鳥居強右衛門」と呼ばれることを願、、、いや、なんかしっくりこないのう笑

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著者情報

大学法学部卒業後、電鉄系、法律事務所での勤務を経て、法科大学院へ進学する。果たして筆者は無事に司法試験と司法修習を突破し、「弁護士・外国法事務共同弁護士法人」を設立のうえ、日本を代表する大手事務所へ成長させられるのか!?
とある司法試験受験生のブログです。

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