スーツご臨終のおしらせ(2023.11.20)

悲報です。学部の就職活動において阪急阪神ホールディングスを筆頭とする大手私鉄の総合職の内定をいただくためだけに注文された初代リクルートオーダースーツが、本日ご臨終されましたことをここに報告いたします。およよ、、、

目次

はじめに

本日の昼頃、自習室にて勉強中、ふと背伸びをした瞬間、、、

ブチブチブチッ!!

という大きな音が鳴りまして、、、ズボンに違和感が生じたことからその部分を触ったところ、、、

がっつり恥ずかしいところに穴があいてしまったことを確認いたしました。。。

スーツの享年、3歳5ヶ月!若すぎる!!

初代リクルートスーツ誕生の経緯

 読者の皆様はご存じの通り、もともと私は一貫して弁護士を目指していたわけではない。下記のとおり、鉄道業界とM&A業界への就職活動と都市工学を学ぶための理転の挑戦を経て、現在に至る。
 幼少期から裁判官に憧れ、裁判官になるため法学部の門をたたいた。しかし、学部2年生の時に人生最大の挫折を味わった。この挫折は当時の自分にとっては会心の記録を更新し続けていた陸上競技をストップさせ、法律全科目の勉強に一切手をつけられなくなるほどであった。その挫折から立ち直る最中に、偶然にも阪急線を使った遠距離恋愛をした。このとき、阪急沿線の魅力に触れ、阪急創業者の小林一三の理念や思想に触れる機会があった。ここで私は、鉄道を軸としたまちづくりというものに強い興味・関心を抱いた。したがって、これまで進んできた法曹への道から進路を変更し、「多世代が豊かに暮らせるまちづくりを国内外に展開させ、後世に遺す」というビジョンを達成させるべく、鉄道会社総合職への就職活動に舵を切ったのである。この決意をしたのは2年生の12月であった。
 さて、就職活動をはじめた2年12月に、まずリクルートスーツを揃えることにした。このスーツは今回ご臨終したスーツではない。読者の皆様が想像する、ありふれた黒無地の既製服である。この既製服をほぼ毎日使い倒し、高速バスとスターフライヤーを使いまくって、東京・名古屋・大阪・福岡を縦横無尽に駆け回った。もちろん黒無地の既製服としてのリクルートスーツなんて、他の就活生と全く見栄えが同じである。目立つことはなかった。(なお新幹線を使わなかった理由は、純粋に運賃が高いわりに、当時の学生から見て特典が薄すぎたからである。往復25000円程度のEX予約をするよりも、往復4000円の高速バスや往復20000円程度で会員特典も手厚く、当時早朝6時半に関空を出発し、21時半頃に羽田を出発していたスターフライヤーのほうがはるかに便利だったのである。)
 この既製服のリクルートスーツを着用し、東京に本社を構える、ある会社の面接に臨んだ3年生の11月頃、ここで転換期が訪れる。

「このスーツで、お客様の前に立てるのか?」

このとき、部長クラスの方からお叱りを受けたのである。自分のサイズに合うはずのない既製服のリクルートスーツで新卒の面接に臨むとは何事か!会社が新卒に対してスーツを指定して面接に臨ませるのは、この状態でお客様の目の前に立たせて問題ないかも含めて、一緒に働くことができるのか見るためであろう、お前はそのようなことを考えたことが無かったのか!と。

 結局、この面接に通れば次が最終面接で内定、しかも新卒にもかかわらず初年度の年俸700万円を提示されていたが、ことごとくこの面接で落ちてしまったのである。

 ここで私の頭の中に、小林一三に関する書籍に記載されていた内容が再生された。

「事業は無理してはいけない。病人に無理が禁物なやうに、事業も無理をしたら必ず失敗する。事業経営にあたってまづなすべきことは、大方針を立てること、計算の基礎を確率することだが、その大方針に無理をしてはならない。」
「どんな仕事でも自分の力量で出来る範囲内のことに限らなければならない。即ち着手する仕事については独立決行し得るといふ見透しと、自信がつかなければ始めてはならない。」
「人に頼ることは失敗の第一歩である。自分が親分として信頼して来た人でも、いざとなると一臂(ぴ)の力をも貸してはくれないものである。最後に頼むものは自分以外には決してあるものぢゃない。やりたい仕事も自分の力量以上に手出しをしたら、みじめな終局があるばかりである。」

これを就職活動に置き換えてみたらどうか?
 たしかに、私は「無理をしてはいない」。しかし、無理をしているかどうか以前の問題ではなかったのか?
 さらに、就活でいう「仕事の独立決行し得る見透し」とはすなわち「希望する企業からの内定」であって、これは私にとっては「大手私鉄総合職の内定」であるが、少なくとも今着用しているリクルートスーツで内定を獲得できる見透しがあったのか?自分の力量で出来る範囲内のことすらしていなかったのではないか?
 そして、今のリクルートスーツは「周りがそうしているから」「世間の常識として新卒の就活ではこのスーツが無難」などと、結局「人に頼る」ことになってしまっていたのではないか?
 つまるところ、今回の面接による就活失敗は起きるべくして起きた失敗であって、みじめな終局を迎えたのは必然であった、ということだ。

では私はどうすべきか。そうだ、より就活にふさわしいスーツをオーダーすればよい。
「このスーツの格好でそのまま取引先の取締役に直接向かうことのできる」ことをコンセプトに持つ、究極のリクルートスーツが欲しい。

こうして誕生したのが、今回のオーダースーツである。なおこのスーツ、後に電鉄系の職場でフリーターとして勤務した際に、職場の上司から「阪急社員よりも阪急らしいスーツ」と評価されている。
もっとも、このスーツは3年生の3月に完成するはずであったが、新型コロナウイルスの感染拡大および経済的事情によって、完成が6月に延びてしまった。結局、このスーツが私の手に届いた時には、既にほぼすべての鉄道会社にて不採用が確定しており、私自身も都市工学分野への理転に向けた準備を進めているところであり、その理転も失敗に終わったため、ついに本来の目的を果たすことは叶わなかったのである。。。

他方、このスーツのほかにもう1着、同時に作成したオーダースーツがある。こちらは紺無地のスーツで、イギリスの有名生地「JOHN FOSTER」で作成されたスーツである。記憶が正しければ、この2着を定価で購入すれば普通のリクルートスーツ数十着分に匹敵する価格であったはずである。偶然にもオーダースーツ店が割引セールを行っていたことから、私のような経済的に苦しい就活生でも手の届く価格まで下がっていたため、購入することができた。
 このスーツを作成した理由は、鉄道会社のほかに受けていたM&A業界への面接に着用していくスーツを持つためである。
ちなみにこのスーツは2022年頃において既にご臨終、廃棄の憂き目に遭っている。神戸駅を歩いていた最中、頭上を通過した鳩による「襲撃」(つまりフンを勢いよくぶつけられたこと)で使い物にならなくなったからである。

これでスーツのブランドは1つに統一された

このスーツは2023年現在において唯一のスリーピーススーツであって、かつ現在使用しているスーツの中で唯一ブランドの異なるスーツであった。そして数あるスーツの中で最も耐久性に優れたスーツであった。なおリクルートスーツなのになぜスリーピースにしたかというと、上述の通り、新卒面接対策に加えて「そのまま取引先の取締役に直接向かうことを当然想定した、そういうコンセプトのスーツだったからである。そのスーツを失ったのは非常に痛い。

このスーツを失ったことで、私の手元にあるスーツは全て「Ermenegildo Zegna(現:ZEGNA)」の「15MILMIL15」に統一され、オーダーの種類も全て「フルオーダー」になった。(もっとも、私が注文したフルオーダースーツを厳密な意味でのイージーオーダースーツに分類する方もいらっしゃいますが、その議論は面倒なのでとりあえずフルオーダーということで話を進めます。)色の種類はネイビー、ダークネイビー、ブラウンに減り、黒スーツを全て失うこととなった。

ちなみに15MILMIL15というスーツは、高級生地を名だたるブランド(例:キートン、エルメス、ブリオーニなど)に供給しているゼニアの生地の中でも最高級の部類に属する(らしい)生地を用いたスーツである。
・・・なぜ私が(らしい)と書いたか。それは「最高級生地のわりにキートンやパニコ(アントニオ・パニコ)などで150万円するスーツよりも5分の1程度の価格でフルオーダーできる店があることや、そもそも日本においてかなりの数のテーラーが取り扱っている事実から、個人的に稀少性と最高級性に疑問符がついている」からである。
※あくまで個人の感覚です。そのような意味においては、現在では12MILMIL12が最高級、といっていいかと思います。ゼニアの中では。

我流、スーツの運用方針

これらのスーツはもはや対鉄道会社総合職面接用およびM&A業界面接用のスーツではない。これらのスーツは、私が法律事務所を設立し、他方で事業会社を設立した際の「代表取締役」として遜色のないスーツであることをコンセプトにしている。当然、プライベートにおけるデートにふさわしいスーツ、ということも考慮されている。したがって私は、それぞれのスーツに「階級」を付け、スケジュール上において会う相手の属性にふさわしい階級のスーツを着用していくこととしている。
現在使用されているスーツの階級は、上から「プレジデント(ネイビースーツ)」「エグゼクティブ(ダークネイビースーツ)」「ヴァイスプレジデント(ブラウンスーツ)」である。
読者の皆様は、いわゆる「憲法における3段階の違憲審査基準をスーツ着用基準に転用したもの」と考えていただいて差し支えない。違憲審査基準についてご存じのない方は各自勉強すること。

プレジデントスーツは、文字通り名だたる企業の取締役相手にSDGsバッジを付けてでも行く超絶重要なスーツである。女性とのデート基準でいえば、重要性において厳格審査基準を突破した場合(デートの目的がやむにやまれぬものであって、今後の関係において目的と手段との間で必要不可欠なものである場合)に着用すべきスーツである。そして何よりも私の全力を表す、威厳のあるスーツである。しかしこれが原因で東京駅の新幹線口で年収2000~3000万円程度稼いでいるであろう経営コンサルや生命保険会社等の社員から入社のスカウトのためにナンパされることがしばしば発生しているため、また生地が極めて繊細であり、原則として1週間に1度しか着用が許されないスーツでもあるから、着用には細心の注意を払う必要がある。

これに対しエグゼクティブスーツは、上述のような事例ではないが、それ以外の取締役や弁護士、会食などで着用する際に使うスーツである。女性とのデート基準で言えば、重要性が中間審査基準に値する場合(デートの目的が重要で、目的と手段との間に科学的根拠を用いた実質的関連性がある場合)に着用すべきスーツである。
 ただしこちらも生地が極めて繊細なため、今回ご臨終となったスーツで可能であった雨風を凌ぐ能力や激しい運動をものともしない(具体的には時速18キロで2キロ走るなど)行動などは取ることができない。したがって、こちらも多用すべきではないスーツということになる。

そしてヴァイスプレジデントスーツは、上記以外の場面において重宝するスーツである。女性とのデート基準で言えば、重要性が合理性または明白性の基準に値する場合(デートの目的が正当で、今後の関係のためにも目的と手段との間で合理的関連性があるか、それが明白であることが認められる場合)に着用すべきスーツである。
・・・ぶっちゃけ、私のスーツの中ではこいつが最も耐久性に優れている、いや口を悪くして言えば耐久性の面で最もマシなスーツであるから、このスーツにはガンガン働いてもらうこととする。

おわりに

・・・というわけで、私のスーツがかなり悲惨な終わり方をしたのでブログ記事の作成に数時間かけてしまった。
テストも控えているので、皆様もどうかこのような憂き目に遭わぬよう気をつけていただきたい。

以 上

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著者情報

大学法学部卒業後、電鉄系、法律事務所での勤務を経て、法科大学院へ進学する。果たして筆者は無事に司法試験と司法修習を突破し、「弁護士・外国法事務共同弁護士法人」を設立のうえ、日本を代表する大手事務所へ成長させられるのか!?
とある司法試験受験生のブログです。

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