はじめに
中央快速線の最混雑区間は中野→新宿間。この最混雑区間における混雑率は全国4位タイ(158%。西鉄貝塚線と同じ)、輸送人員は全国3位(65510人)である。
※参考 国土交通省「資料3:最混雑区間における混雑率(2023) 2024年8月2日発表」
そのデータを裏付けるかのように、中央快速線の平日の朝ラッシュはすさまじく、毎日すし詰めでスマホを見ることすらできない程。ドア付近で一旦乗車できても、次の駅で降車する人のために一旦電車を出た後に、乗り切れずに待ちぼうけをくらうこともしばしば。写真は、グリーン車無料期間中に、朝ラッシュに巻き込まれて、途中の中野駅で列車から締め出されて呆然としたときのものである。
。
中野~新宿間だけで1日に使う体力をごっそり持っていかれるレベルである。
さて、そんな中央線にも、2025年3月15日から遂にグリーン車サービスを利用できるようになった!
正直なところ、通勤・通学で毎日グリーン車を利用することで、ラッシュを乗り切りたい…!毎日使うならグリーン定期を買ってみたい!
しかし、高円寺・阿佐ヶ谷・西荻窪に限っては、平日以外は全列車が通過してしまう!ならば、グリーン券を毎回買ったほうがお得なのかもしれない(が、面倒だ)!
そこで、高円寺・阿佐ヶ谷・西荻窪駅が最寄り駅の方が、東京や新宿、立川方面へ通勤・通学する際に、果たしてグリーン定期を購入すべきか、それとも、その都度購入すべきか。表にしてまとめてみた。
グリーン券の都度購入と、グリーン定期券の購入の比較
前置きはこのくらいにして、早速、本題に入ってみよう。グリーン車サービスの詳細は、JR東日本ホームページで確認してほしい。
表の見方を説明する。
まず、表で算出した値段は、いずれもグリーン車を1日1往復利用し、かつこれを3か月間利用した場合の値段である。
「グリーン券」とは、モバイルSuicaでグリーン券を都度購入し、かつ、(高円寺・阿佐ヶ谷・西荻窪は平日以外は全列車通過するため)平日しか購入しなかった場合の値段をいう。計算式は以下の通り。
750円(Suicaグリーン券の片道の値段)×2(1日1往復分)×59(2025年における連続する3か月間で最も平日が少ない期間の平日の日数。具体的には11月~2026年1月(年末年始ダイヤも考慮)で、平日の日数はそれぞれ18日、22日、19日。)
=88500円
今回検討する行き先では、いずれも片道50kmを超えないので同額となるが、表による比較の観点から、便宜上あえて表に載せた。また、JREポイントによる無料グリーン券については、今回は考慮していない。
「グリーン定期券」とは、モバイルSuicaで3か月分を購入した場合の値段をいう。期間内であれば、グリーン車に乗り放題である。今回は、「どちらがお得か」に的を絞って解説するため、1ヶ月定期の値段は省略している。
「差額」とは、グリーン券の都度購入と、グリーン定期券との差額をいう。この数値がマイナス(▲)であれば、「グリーン券を購入したほうが損する」ことになる。
さあ、表を見てみよう。
高円寺から | グリーン券 | グリーン定期券 | 差額 | 割引率 | 結論 |
立川 | 88500 | 130600 | ▲42100 | ▲32.2% | 都度購入 |
新宿 | 88500 | 80750 | 7750 | 9.5% | 定期券購入 |
四ツ谷 | 88500 | 81690 | 6810 | 8.3% | 定期券購入 |
御茶ノ水 | 88500 | 85490 | 3010 | 3.5% | 定期券購入 |
神田 | 88500 | 85490 | 3010 | 3.5% | 定期券購入 |
東京 | 88500 | 93120 | ▲4620 | ▲4.9% | 都度購入 |
阿佐ヶ谷から | グリーン券 | グリーン定期券 | 差額 | 割引率 | 結論 |
立川 | 88500 | 130600 | ▲42100 | ▲32.2% | 都度購入 |
新宿 | 88500 | 81690 | 6810 | 8.3% | 定期券購入 |
四ツ谷 | 88500 | 85490 | 3010 | 3.5% | 定期券購入 |
御茶ノ水 | 88500 | 85490 | 3010 | 3.5% | 定期券購入 |
神田 | 88500 | 93120 | ▲4620 | ▲4.9% | 都度購入 |
東京 | 88500 | 93120 | ▲4620 | ▲4.9% | 都度購入 |
西荻窪から | グリーン券 | グリーン定期券 | 差額 | 割引率 | 結論 |
立川 | 88500 | 93120 | ▲4620 | ▲4.9% | 都度購入 |
新宿 | 88500 | 85490 | 3010 | 3.5% | 定期券購入 |
四ツ谷 | 88500 | 85490 | 3010 | 3.5% | 定期券購入 |
御茶ノ水 | 88500 | 93120 | ▲4620 | ▲4.9% | 都度購入 |
神田 | 88500 | 93120 | ▲4620 | ▲4.9% | 都度購入 |
東京 | 88500 | 130600 | ▲42100 | ▲32.2% | 都度購入 |
この通り、高円寺・阿佐ヶ谷・西荻窪駅を利用する人にとっては、通勤・通学の最寄り駅が東京駅または立川駅の場合、グリーン定期券を購入すると必ず損をする計算になる。そのため、JRも、高円寺・阿佐ヶ谷・西荻窪を発着駅とするグリーン定期券を購入する場合には、「土曜・休日時刻での運転日に中央線快速が通過する駅が乗車駅または降車駅に設定されています」というアラートを利用者に必ず見せている。
したがって、上記3駅が最寄り駅の方は、通勤・通学以外で頻繁に外出する機会があるか(新宿などへ外出する機会があるのか?)、ご自身のライフスタイルと相談して、グリーン定期券を購入すべきだろう。
中野・荻窪・吉祥寺発着のグリーン定期券を購入する手もあるが…
例えば、高円寺・阿佐ヶ谷から東京・新宿方面へ通勤・通学する場合、東京~中野間のグリーン定期を購入すれば、中野~東京間ならば3か月で85490円と、お得に利用できる。しかも、中野駅は、土日休日も特急列車以外の全列車が停車するため、新宿・東京へのお出かけにグリーン車を使うことができる。
だが、私はおすすめできない。そもそもグリーン定期を購入する目的は、毎日快適に通勤することで、ラッシュに巻き込まれずに体力を温存することにある。にもかかわらず、途中駅の中野までの購入にしてしまうと、必ず中野駅で車両の乗り換えが発生する。うっかり最寄り駅まで行こうものなら、追加料金が発生する。そうすると、利用者は乗り換えのストレスを甘受しなければならないことになる。したがって、このような購入の仕方は、グリーン定期を購入する目的から離れてしまうのではないか、と私は考える。
また、乗車券分の定期券と、グリーン定期券の区間が異なる場合、専用の申込フォームで申込をする必要があるため、手続きが煩雑である。
以上のことを考えると、「中野・荻窪・吉祥寺までのグリーン定期券に設定すれば良い」という安易な考え方は危険であることがわかる。したがって、私はお勧めしない。
おわりに
以上のことから、休日には全列車が通過する高円寺・阿佐ヶ谷・西荻窪の利用者がグリーン定期券を購入する際の判断基準について解説した。移動のストレスを解消して、勉強や仕事のパフォーマンスを上げるためには、決して安くはないが快適に移動できるグリーン車を利用すべきだが、その都度購入すべきか、定期券を購入すべきか迷ったときは、ぜひ上記の表とご自身のライフスタイルを突き合せて検討してみてほしい。